TRAILER

INTRODUCTION

詩を生き、映画を生きた福間健二監督。
最新作上映にあわせて、過去全作品の特集上映を開催!
詩を生き、映画を生きた福間健二監督。
最新作上映にあわせて、
過去全作品の特集上映を開催!

詩人・映画監督 福間健二(享年74歳)。
10代より若松プロの門を叩き映画にのめり込む。同時に詩を書きはじめ、現代イギリス詩の研究者としての道を歩みつつ、『ピンク・ヌーヴェルヴァーグ』、『石井輝男映画魂』など数々の著書を刊行。詩と映画への情熱を最後まで燃やしつづけた。今回、最新作『きのう生まれたわけじゃない』の公開記念として、福間監督の過去6作品、及び69年に初めて監督した中編『青春伝説序論』と、同時期に若松孝二監督で脚本・主演した『現代性犯罪暗黒篇 ある通り魔の告白』も特別上映します!

FILMS

急にたどりついてしまう 1995
Suddenly Arriving

ソーセージ屋で働く信次は他人との関わりを疎ましく感じる男。その趣味は街を歩くこと。しかし彼はひょんなことで知り合ったリサという少女に関わっていくことに……。孤独と諦念のなかにいつしか他者を迎える素地が再生していたこと、そのたどりつきを、ピンク映画関係者の協力を得て、プログラムピクチャーの話法を超えた作劇と、繊細なフィルム撮影によって描いた。主演伊藤猛は90年代に多くのピンク映画に出演しシーンを牽引した名優。2014年に逝去。その訃報を受けて福間は「伊藤猛は、映画俳優として、いい仕事をたくさんした。巧くはない、ということの、よさをたっぷりもっていた。そして苦しい生き方を選ぶようにして、生身をけずりながら生きていた」とツイートし、冥福を祈った。本作はまぎれもなく伊藤猛の代表作となる一本。

脚本|福間健二 撮影|小西泰正
編集|金子尚樹 制作|サトウトシキ、瀬々敬久
出演|伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、小林節彦、田中要次、川瀬陽太、原將人、室野井洋子
1995年|カラー|スタンダード|35ミリ|90分 *DCP上映

脚本|福間健二 撮影|小西泰正
編集|金子尚樹 制作|サトウトシキ、瀬々敬久
出演|伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、小林節彦
田中要次、川瀬陽太、原將人、室野井洋子
1995年|カラー|スタンダード|35ミリ|90分 *DCP上映

岡山の娘 2008
My Dear Daughter of Okayama

岡山の大学生小川みづきは母を亡くし借金を抱え、途方に暮れる日々のなか様々な人と出会う。そして会ったことのない父親立信三がヨーロッパ放浪から帰還して……。前作から13年開いて撮られた福間の初デジタル撮影映画は、ひとつの映画に無数の物語の断を詰め込むゴダール的な方法の伸びやかな実践となる。そこでは岡山の風景と若い女性たちが光に祝福されている。ちなみに主人公の父の名前「立花信三」は、映画『網走番外地』シリーズで高倉健が演じた主人公「橘真一」へのオマージュかつ、自身の名もそこに紛れこませたものとして福間が好んで使った「立花信次」の名(サトウトシキ監督作品『悶絶本番ぶちこむ‼』(95)の脚本執筆&カメオ出演した自分のクレジット表記と『急にたどりついてしまう』の主人公の名前)に連なるものだろう。

脚本|福間健二 撮影|大西一光
編集|福間雄三 音楽|吉田孝之
出演|西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一、東井浩太郎
2008年|カラー|16:9|デジタル|92分 *DCP上映

脚本|福間健二 撮影|大西一光
編集|福間雄三 音楽|吉田孝之
出演|西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜
入海洋一、東井浩太郎
2008年|カラー|16:9|デジタル|92分 *DCP上映

わたしたちの夏 2011
Summer for the Living

2009年夏、写真家の千景は恋人庄平の娘サキと出会う。人生を模索するサキ、夏ごとに通り過ぎた男たちを回想する千景。ふたりの女が互いに眩しさを感じるとき複数の夏がつながる。そして死の影。サキが好む作家が原民喜であることを媒介に原爆の死者たちが身近な逝きし者ともども死の世界を示す。その重さ暗さを担ったまま、彼女らの夏はまばゆい。シナリオに「天使的存在」と記された役を演じたのはダンサー室野井洋子(1958~2017)。室野井は福間の映画論集『ピンク・ヌーヴェルヴァーグ』の編集者でもあった。本作での千景と天使的存在の遭遇場面で室野井はバストショットだけで踊ってみせる。その場面を指して福間は、ここはドライヤー『裁かるるジャンヌ』にも負けてない、と述懐していた。観た者のみがそのことを確認しうるだろう。

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
音響|小川武 編集|秦岳志
出演|吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵、川野真樹子、籾木芳仁、室野井洋子
2011年|カラー|16:9|デジタル|89分 *DCP上映

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
音響|小川武 編集|秦岳志
出演|吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵
川野真樹子、籾木芳仁、室野井洋子
2011年|カラー|16:9|デジタル|89分 *DCP上映

あるいは佐々木ユキ 2013
A Fairy Tale

20歳の女性佐々木ユキの日常。『わたしたちの夏』の続編かパラレルワールドの趣きで同作の主演コンビだった小原早織と吉野晶が、本作では主人公ユキとその友人の女探偵織田千春を演じる。詩人文月悠光と文学者千石英世も本人役で出演。ユキのバイトは中華料理屋と花屋と探偵のお手伝い。もうひとりの自分佐々木ユキBと出会い、仲良くなる。謎の青年Kと一夜をともにする。父親が言い残した言葉「生きていればいい」と、「もうすこし歩いて もうすこしへんになってみる」という詩(福間作)を呟きつつ生きるユキの日々はフェアリーテイルの如く小さな不思議と冒険に満ちる。ドキュメンタルに瑞々しい人物の表情がそこかしこに露出する。編集にかかる頃にアピチャッポン・ウィーラセタクンの作品をまとめて観たことで福間は後押しされたという。

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
音響|小川武 編集|秦岳志
出演|小原早織、吉野晶、千石英世、文月悠光、川野真樹子、籾木芳仁、川島加奈代、萩原亮介
2013年|カラー|16:9|デジタル|79分 *DCP上映

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
音響|小川武 編集|秦岳志
出演|小原早織、吉野晶、千石英世、文月悠光、川野真樹子
籾木芳仁、川島加奈代、萩原亮介
2013年|カラー|16:9|デジタル|79分 *DCP上映

秋の理由 2016
Autumn

代表作「秋の理由」刊行ののち不調から声を失い、執筆もできない作家の村岡(佐野和宏)と、その才能に惚れ込んだ編集者宮本(伊藤洋三郎)という男ふたりの関わりに、村岡の妻の美咲(寺島しのぶ)と村岡の愛読者である若い娘ミク(趣里)が絡む。高田亮と福間共作の脚本の台詞、そして福間の詩句は役者陣の力を得てかつてないロマンを薫らせて響く。佐野は俳優として『追悼のざわめき』(88、松井良彦)や瀬々敬久監督のピンク映画などに主演し、自身の監督作では主演も兼ねる自作自演スタイルでピンク四天王の一角を担った。2011年咽頭癌の摘出手術に伴い声を失うがその後も出演を続ける。声のない佐野の演技と他キャストとの応酬の豊穣さに驚く。本作ラストシーンは福間監督最新作『きのう生まれたわけじゃない』にも通じる。

脚本|福間健二・高田亮 撮影|鈴木一博
録音・音響|小川武 編集|秦岳志 音楽|清岡秀哉
出演|伊藤洋三郎、佐野和宏、趣里、寺島しのぶ、安藤朋子、木村文洋、小原早織、吉野晶
2016年|カラー|ヴィスタ|DCP|5.1ch|88分

脚本|福間健二・高田亮 撮影|鈴木一博
録音・音響|小川武 編集|秦岳志 音楽|清岡秀哉
出演|伊藤洋三郎、佐野和宏、趣里、寺島しのぶ、安藤朋子
木村文洋、小原早織、吉野晶
2016年|カラー|ヴィスタ|DCP|5.1ch|88分

パラダイス・ロスト 2020
Paradise Lost

題名はミルトンの叙事詩「失楽園」でありながら登場人物らが語るのは、夫フレッドを亡くして失意に沈むパティ・スミスを鼓舞するためボブ・ディランが彼女を「パラダイス・ロストツアー」に連れ出したという逸話。本作もそれと同様の夫を亡くした女、亜矢子(和田光沙)の再生を描く。夫の死後初めて交流を持った彼の親族や、旧友のユキ(小原早織が演じる。本作は『あるいは佐々木ユキ』に接続する)によって亜矢子の喪失は癒えていく。本作は通常の映画が客観的なカット、ただの光景とするものを、たびたび夫の霊の見た目だとする、一種異様な幽霊目線の映画でもある。その死者がかつて居た現世を強く惜しむとき、いまここが楽園だったと気づかされる。「生と死の境界をこえる視点から、幻想的かつリアルに『いま』を抱きしめたいと思った」(福間)。

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
録音|川上拓也 編集|秦岳志 音楽|メノウ
出演|和田光沙、我妻天湖、江藤修平、小原早織、木村文洋、森羅万象、宇野祥平、佐々木ユメカ
2020年|カラー|ヴィスタ|DCP|5.1ch|106分

脚本|福間健二 撮影|鈴木一博
録音|川上拓也 編集|秦岳志 音楽|メノウ
出演|和田光沙、我妻天湖、江藤修平、小原早織、木村文洋
森羅万象、宇野祥平、佐々木ユメカ
2020年|カラー|ヴィスタ|DCP|5.1ch|106分

きのう生まれたわけじゃない 2023
Not Born Yesterday

原案・脚本|福間健二 撮影・照明|山本龍
録音・編集|川上拓也 美術|住本尚子 音楽|福間健
出演|くるみ、福間健二、正木佐和、安部智凛、守屋文雄、蕪木虎太郎
2023年|カラー|1:1.85|DCP|5.1ch|86分

原案・脚本|福間健二 撮影・照明|山本龍
録音・編集|川上拓也 美術|住本尚子 音楽|福間健
出演|くるみ、福間健二、正木佐和、安部智凛
守屋文雄、蕪木虎太郎
2023年|カラー|1:1.85|DCP|5.1ch|86分

▷『きのう生まれたわけじゃない』公式サイト

特別上映

60年代末、通俗的欲望に応えるポルノ映画と観念的な学生映画がメビウスの輪のように連結する状況があった。それを先導したのは足立正生と沖島勲ら日大新映研の若松孝二プロダクションへの合流だが、都立大生の福間健二と高間賢治が若松プロの門を叩いたのもそれに次ぐ出来事だった。高間は後年撮影監督として活躍する。予備校生が日常を逃れて恋人と理想郷を目指す16mm映画『青春伝説序論』製作資金のため、福間は欲求不満の男子学生が連続強姦殺人鬼となる『ある通り魔の告白』の脚本を書き自ら主演。若松監督の厳しい指導を経て撮影とアフレコを終えた福間が、解放された!と漏らすと若松は「人間、どこまでも解放なんかされない」と言ったそうだ。その予言?どおりか、福間は生涯この若き日のミソジニーを裏返すような映画をつくり続けた。

青春伝説序論 1969

脚本|福間健二 撮影|高間賢治
出演|長谷川隆志、林いづみ
1969年|モノクロ|16ミリ|40分 *BD上映

現代性犯罪暗黒篇 1969
ある通り魔の告白

監督|若松孝二 脚本|出口出(福間健二)
撮影|伊東英男 照明|磯貝一
出演|福間健二、花村亜流芽、岩崎厚子
1969年|モノクロ|35ミリ|72分 *BD上映

作品解説テキスト|千浦僚

THEATER

都市 劇場 開催期間
東京 ポレポレ東中野 2023/12/2 (土) - 12/22 (金)〈上映終了〉
大阪 シネ・ヌーヴォ 2024/1/20 (土) - 1/26 (金)

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